日本のアイドルシーンに聡い人ならば、中野腐女シスターズ第一期生で、幼顔からは想像もつかないHカップバストを持ちSEXYなグラビア活動を続けていた「金井あや」という名前に聞き覚えがあるだろう。グラビアアイドルとして活動していた彼女は2007年に所属事務所を離れ、フリーで活動を始めた。イメージDVD、撮影会、写真集、ヌードイラスト作成などクリエイターとしての腕を発揮。その後、10年11月には現在の名前「あんり」へ改名し、映画『ADULT 24歳の恋』に主演し、本格的に芸能活動を再始動させた。
本作で、職を探すこともなく親のスネをかじり、人生に意味などなく、常に死にたいと考え、気に入らないことがあると誰彼構わずかみつく、トリッキーな女性・木村多美子を演じたあんり。ヒロインの処女喪失シーンでフルヌードにも挑んでいる。彼女の女優デビューに至った経緯と決意とは？
──芸能活動・再始動と映画初主演、おめでとうございます。
あんり「ありがとうございます」
──まず、中野腐女シスターズを卒業し、芸能界を引退されていましたが、その当時は何をされていたんですか？
あんり「個人で芸能活動を少しずつ継続しながら、歯科衛生士などをしていました。あとは、引退している間に美容3カ年計画を立て、ダイエットや歯科矯正、メイクの仕方や髪形の整え方などを勉強し、綺麗になろうと努力を重ねました」
──なぜそのような計画を立てられたのですか？
あんり「私は、もともと自分の容姿に自信があったわけではなく、ふとしたことからアイドルになったんです。それまではずっと室内にこもって絵を描いていたので、芸能活動を始めるまでろくにメイクもしたことがありませんでした。そして、活動する際に初めてメイクをしてもらい周りを見ると、同年代はおろか年下の子ですら自分を美しく見せていることに気付いたんです。すごく衝撃的でした。
それに私はロリ系オタドルとして活動していましたが、私の内面は決してオタクではなく多少アニメが好きなくらいでしたから。外見から受ける印象と私の性格とのギャップが広がり始め、加えてほかのタレントさんと比べたときに感じる容姿的なコンプレックスが大きくなり、もう今のまま芸能活動をしていくのは難しくなったなと感じギャップを少しでも埋め、なりたい自分になろうと考えたからですね」
───3年間モチベーションを持ち続けられた理由は？
あんり「まず5kgくらい痩せ、エステティシャンの力を借り、ボディーラインを形成したんです。すると周りからキレイになったと言われ、実際に写真を見て少しずつ自分の理想に近づいていると実感できたのが、すごいモチベーションになりましたね。あと、一度引退した直後、周りの人に『3年後、女優として再デビューする』って言ってるんです。あの当時は、女優として活動するのは難しいと感じていたので、3年後ちゃんと女優としてデビューしたいなと」
──女優になれるという根拠はありましたか？
あんり「ないですね。全くありませんでした。とりあえず"なる"としか考えていなかったんですが、今の事務所の方と出会い、どういう方針で芸能界再デビューするかを1年間話し合っていく中で、最終的に女優がいいという話になったんです」
──『ADULT～24歳の恋～』で大胆なヌードを披露されていますが、脱ぐことに抵抗はありましたか？
あんり「初めはすごく葛藤しました。でも裸は嫌だなぁと考えていたときに、マツコ・デラックスさんが『最近ドラマや映画で脱げる女優がいなくなった。女性の生きざまを描こうとしているのにセックスシーンを描かないのは不自然だ』とおっしゃっているのを聞いて、確かにその通りだと思い、自分の生きざまを見せてやろうと出演を決意しました。今は、心から『出演して良かった』と言えるので、あの時背中を押してくれたマツコさんにいつかお会いして、お礼が言えたらいいなと思っています」
──多美子は非常に"我"が強いキャラクターですが、役作りなど苦労はされませんでしたか？
あんり「私は絵（を描く）もそうなんですけど、"何か"を作ることが好きなんです。女優って、台本に書かれているストーリーの女性をいかに作り出すかということを考える人だと思っているので、確かに強烈なキャラクターだとは思いましたけど、台本を一通り読んで、『これが多美子という女性なんだ』と理解できたので、意外にすんなりと役に入り込めましたね」
──ラブホテルで、殴りかかるシーンは印象的でした。
あんり「そうですよね。『24歳を迎え、ようやく一念発起した多美子の心をズタボロにしてくれたね、誠くん』って感じで。彼女はキレイになりたいと常々考えているけれども、その方法が分からない。自分が知らない世界を経験すれば、何か新しいものが開けるのではないだろうかと考え行動したのに、拒否されるなんて。しかも劇中では2回目だし、まあ、ふざけるなって激発するのは分かります」
──多美子のように熱い恋をされたことは？
あんり「特にないですね。でも多美子と同じくらい激高するときはありますね。特に絵を書いているときに邪魔されるとかみついちゃいます。なので、暴れる私を止めてくれるくらい強く、優しい人が好きです」
──女優として再デビューしたにもかかわらず今回は元・中野腐女シスターズとクレジットが入っていますけど、本人的には要らないのでは？
あんり「いや、逆に『ここで使えるのか！ ラッキー』って感じです。でも、私がグループにいたってことを覚えている方はいるのかなって気もしますけどね」
──昔の仲間からヌードになったことに対して何か言われたりしましたか？
あんり「連絡先を知らないんですよ。本当に少しの間しか所属していなかったし、私がいる時には公演とか10回もやっていないんじゃないかな。当時は、中野腐女シスターズが歌を出す前で、そんなにまだグループとして本格的に活動していない時期でしたので」
──現在の中野腐女シスターズに今自分がいたら、と思うことはありませんか？
あんり「特にありませんでしたね。その時には、もう私に"グループ"は向いていないとひしひしと感じていた時だったので。もしいたとしても、つらかっただろうなと思います。物事を一人で黙々と進める性格なので、グループでダンスを合わせるなどの、団体活動はあまり得意じゃないんですよ」
──ちなみに「あんり」の芸名の由来は？
あんり「占い師さんに決めてもらいました。初めはマネージャーさんと話し合った結果、「小峰不二子」だったんです。『ルパン三世』（双葉社）に出てくる峰不二子の小さい版みたいな。そして、小峰不二子で行こうと決めてオーディションなどにも実は行ったんです（笑）。でも占い師さんのもとを訪ねて、『これから「小峰不二子」の芸名で活動をしようと思っているんですけど、どうですか』と伺ったところ、女性は濁点を付けるのが良くないらしく、付け直すのでリストを作り持ってきなさいと言われ、その中から"あんり"がいいと選んでもらいました」
──あんりを思い付いた理由は？
あんり「まずは音の響きですね。あとは本名に"あ"が付くので、そこに引かれたのかもしれません。ほかの候補には『あんじゅ』などありましたから」
──映画以外では4月28日に『金井あや（改め あんり）写真集「Anri」』（講談社）が発売されましたね。
あんり「はい、本当にナチュラルな私が出せていると思います。今までのグラビアではポーズを決め、笑顔を作って撮影していたんですけど1月に「FRIDAY」（講談社）さんの撮影で『ポーズ決めてなくていいから』、と言われたのが印象的でした。素の自分を評価されている感じがしてうれしかったしかったです。この写真集も同様ですね。3年間の努力も実ったかなと思います」
──5月4日には発売記念イベントも企画されているそうですが、これからも定期的にイベントは行われるのでしょうか？
あんり「今後はグラビア活動は控えるので、撮影会などはあまり考えていません。トークショーなどという形で、ファンと交流できたらいいなと考えています。イベントはこれから一人で演じる場であったり、歌を歌う場でありたいなと。5月4日のイベントは、グラドルとしてではなく、"女優あんり"として旅立ち始めている私を見に来てもらえるとうれしいです」
★応援よろしくお願いしますm(__)m★
